脳の視床下部がコントロールする自律神経が乱れると、体温調節がうまくできなくなり、突然顔が熱くなったり(ホットフラッシュ)、大量の汗がしたたり落ちる、あるいは、下半身は冷えているのに顔がやけにほてる(冷えのぼせ)などの症状が表れます。 またその他に、動悸や息切れ、めまい・耳鳴りなども自律神経の変調によるものです。
更年期には身体的症状の他に、眠れない・イライラする・気分が落ち込むなどの精神的症状も多くみられます。また、エストロゲンの減少などの生理的要因に、日常生活における急激な変化などのストレスが加わると、悪化する傾向がみられます。
加齢に伴い、肌の保水力が低下し、しみやしわができやすくなりますが、エストロゲンの減少は、頭皮など肌以外の皮膚や粘膜にも影響を及ぼすため、白髪・抜け毛・口内の乾きなどの症状が出てきます。
泌尿器周辺の筋肉の衰えにより、「くしゃみや咳をしたらオシッコがもれた」、「トイレに行ったのに間に合わずに失禁してしまった」など、尿漏れ・失禁・残尿感・頻尿などの症状が表れてきますが、これにはエストロゲンの減少により、粘膜に異常が起こることも関係しています。
エストロゲンの減少は女性性器の萎縮・乾燥を招きます。また、免疫力が落ちることで、膣炎を起こしやすくなり、かゆみなどを引き起こします。性交時には痛みを感じることが多くなり、出血するケースもみられます。
特に何もしていないのに手や足がしびれたり、蟻走感といって、蟻が身体の上を這いずり回っているような特殊な感覚が起こることがあります。これは皮膚の知覚神経に異常が生じたためで、普段より感覚が敏感になる人もいれば、逆に鈍感になる人もいます。
エストロゲンの役割のひとつに、関節を滑らかに動かすという働きがあります。もともと女性の筋肉量は男性に比べ少なく、筋力も弱い場合が多いのですが、筋力の衰えによる肩こり・腰痛に、エストロゲンの減少のよる関節痛が加わり、さらに症状をつらいものにします。
消化器は自律神経によってコントロールされているため、やはり更年期の影響を受けます。便秘や下痢、膨満感・吐き気などが代表的な症状です。また、過食の傾向が出てくる場合と、反対にまったく食欲がなくなる場合がみられます。
さまざまな更年期症状の中で、まず初めに起こりやすい症状は以下の通りです。
閉経を迎える頃には、エストロゲンの分泌量は通常の半分〜3分の1程度の量に減り、逆に卵胞刺激ホルモンは約5〜6倍に増えます。
閉経後は下記の症状に加え、さらなるエストロゲンの低下により、心筋梗塞や動脈硬化などの心臓・血管系疾患の危険性が大きくなります。
一般的に更年期の諸症状は、閉経をはさむ40代後半〜50代半ばにみられ、60才頃までには落ち着くことが多いのですが、中には閉経が遅い人もおり、その場合は60代になっても症状が続くことがあります。ホルモンの乱れがおさまれば、自然と症状も良くなっていきますが、精神的ストレスが多いと症状が長引く場合があります。
結論から言うと、更年期症状は遺伝病ではありません。ただ、症状の程度には性格や生活環境が影響しますので、完璧主義できちょうめんな性格や、ストレスへの対処の仕方が親子の間で似ている場合は、症状が強く出やすいと言えるでしょう。
更年期症状には個人差があり、一般的に専業主婦と外で職業を持って仕事をする人との間で、症状の重さに差がみられるといった傾向はありません。外で働く人はストレスを解消する機会も多い分、職場のストレスにさらされることも多いと思われます。ただ、仕事にせよ趣味にせよ何か打ち込めるものを持つことは、更年期を上手に乗り切る有効な対策のひとつと言えるでしょう。
ある調査によると、独身女性の方が既婚者にくらべ、更年期症状の出る頻度が少ないという結果が出ています。独身の人は、身体に異変が起きた時の不安も大きく、自分の健康に関する意識が高い人が多いのに対し、既婚者は夫や子供のことを優先して自分のことは後回しにしてしまう傾向があります。特に専業主婦の人は、定期的な健康診断をする機会が少ないことも原因のひとつと言えましょう。
統計的には、エストロゲンの減少といった更年期の生理的変化と、妊娠・出産の有無の間に、相関関係はみられないようです。出産することにより、生活環境に変化が生じ、新たな人間関係が発生しますが、関係の良し悪しが、更年期症状の程度に影響を及ぼす可能性が考えられます。
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